23/Jan/2006  E570 解析ミーティングのまとめです。

[1] run の切れ目を考慮して分割したデータを global fit することで correction parameter ev2ch とintercept を出し、gain 補正して足し合わせたもの ("part" と名付けた) と、何も考えずに足し合わせてそれを global fit し、出てきた一つの ev2ch と intercept を用いてch から eV に直したもの ("all" と名付けた) を比較した。

 -> 結果:mean に関しては Ti で X-ray Data Booklet の値より -6 eV、Ni では -13 eV という正しくない値が得られた。系統的にずれている。sigma に関しては step 的にgainが変動していたSDD3とSDD5については改善が見られたが、他のSDDではほとんど変化なし。

 -> 考察:sigma についてはよいとして mean の結果は bug に違いない。mean をみるときは free mean fit のため、mean の値が background や tail に引きずられたのではないか。SDD によって background はそれぞれであるから、系統的にずれるとすれば tail が原因である可能性が高い。エネルギーが高い Ni の方が tail を引き易い (電子・ホール対は 3.8 eV に一個発生するので、数が多くなるほどシグナルに関与する電子が電極部分で再結合を起こし易くなる) ので、Ni のほうが系統的に大きくずれている説明にもなる。

(ところで、correction parameter を作るときは mean が X-ray Data Booklet の値になるように ev2ch と intercept  から計算して fit している。これは parameter の数を減らすためと、近い位置にいる Ka1 と Ka2 を分離するため、さらには、統計の小さい Kb の位置や高さの fit が background に引きずられるのを防ぐためである。

一方 mean をみたときの最終 fit は ev2ch と intercept からの計算による fix 条件は何も課していない。それらの値が正しいかどうかの評価がしたいので fit には入れられないのである。)

他の原因として、parameter を bin のどこで決めているのか(bin の中心か、端か)や  ch -> eV の変換において Differential Non-Linearity が利いてきたのではないか、ということもあがった。Wilkinson との比較が必要。

[2] SDD2 と SDD8 には veto through TDC cut でも取り除けないノイズが存在する。これは主に 隣りの SDD の reset pulse からくる cross talk が原因と考えられている。幸運なことに fout との相関を見て cut をかけることで消すことができそうである。

[3] pulser の時間変化をみた。Day night effect がみられた。昼と夜で 0.5 ch ほどの振動。Beam time の開始から終了までに pulser  の mean が およそ 3ch 下がっていた。つまり時間に対して negative な相関が存在している。 pulser 自身の変動かもしれないので、Ti の mean などと相関を見る必要がある。