物質分子1層1層に止められるミュオンビームを! | |
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ミュオン磁気共鳴(μSR)は、物質内部の磁場を手にとるように探る
極めて有効な手段ですが、加速器でつくり出されるミュオンは、その速度が
バラバラなので、狙ったところに止めるということが出来ません。
狙ったところに止められるようになれば、例えば、物質内部と
表面における磁性の違いなど、これまで物性が大きく異なると予想はされているが
全く研究の手がついていない新たな研究領域を広げることができると期待されます。
例えば、PSI(スイス)などで、凍ったネオンで減速することにより
低速のミュオンを作って、実際に研究が開始されようとしています。
しかしながら、より正確にミュオンが止まる場所をコントロールするのは、
この方法でも十分ではありません。まだまだ速度の広がりが大きいためです。
そこで、我々は一旦完全に止めてしまい、そこでわざとミュオニウムという原子にしてしまい、
過熱することによってミュオニウム原子を真空中に取り出し、高強度レーザーで電子を剥ぎ取ることによって
完全に止まったミュオンをつくり出すという方法にチャレンジしています。