ミュオン触媒核融合
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ミュオンで核融合をたくさん起こさせる! |
核融合は、人類の未来の現実的なエネルギー源として、注目を集めています。
しかしながら、その実現は簡単ではありません。いろいろな方法で実現を目指した
研究が進んでいますが、我々の研究はそれらとはちょっと違います。
そもそも、核融合は太陽のエネルギー源で、大陽中ではいとも簡単に
起こっている様ですが、なぜその実現が難しいのでしょう?
基本的な核融合は、水素(とその同位体)が2つ「くっついて」ヘリウムになってその時に
エネルギーをつくり出す現象ですが、水素は同じ符号の電荷を持っているので、なかなかくっつきません。
ですから、むりやりくっつけようとすると、地上では途方もないような圧力と
温度(水素原子の立場でいえば速度ですね)が必要になります。
むりやりくっつけないで、核融合を起こさせることはできるでしょうか?
電荷が問題なので、それを打ち消してしまおうというのが、ここで紹介する方法です。
ミュオンを水素中に止めると、負電荷のミュオンは水素の電子と置き換わって、ミュオン水素原子
という変わった物が出来上がります。ミュオンは電子より400倍重いため、ミュオン水素原子
の大きさは水素原子にくらべて約1/400になります。要するに、水素の持っていた電荷は
ほとんど負電荷のミュオンによって打ち消されるので、容易に他の水素が近付くことが出来ます。
そうなると、ミュオンは二つの水素の間の橋渡し役をするようになり、ミュオン水素「分子」が形成されます。
ミュオン水素「分子」中の2つの水素原子核は容易に核融合を起こし、置き去りにされた
ミュオンは、次の核融合を起こすべく、他の水素を探すことになります。
このように、1つのミュオンが何度でも核融合の橋渡し役をするので、
ミュオン触媒核融合と呼ばれています。
この現象は、原子生成、分子生成、核融合現象という極めてスケールの異なる反応の複合体で、
学術的にも極めて面白い現象です。
将来、我々の役に立ってくれるかも?
以下に、我々の最近の実験結果を示す図をつけます。